第3章 洒涙雨
【智】
「え~?ホントのこと言えよ~。彼女といちゃいちゃしてたんだろ~?」
「だから…そんなんじゃないって!」
相葉ちゃんにしつこく聞かれて。
潤が不機嫌そうな声を出した。
「うるさいんだよ!」
「な、なんだよ…そんなに怒ること、ないじゃん…」
相葉ちゃんは情けない声でそう言うと、なぜか俺の横に腰掛ける。
「おーちゃ~ん、松潤に怒られたぁ…」
「相葉ちゃんがしつこいからじゃない?ほら、あいつ朝は機嫌悪いんだから…」
相葉ちゃんが甘えたように頭を肩に乗せるから、それをよしよしって撫でながら、痛いほどの視線を感じる。
あ~…
これは今日は寝かせてもらえないかも…
心の中でため息を吐いてると、まるで見透かしたように手の中の携帯が震えて。
『今日は智の家に行くから』
潤からのメッセージが届いた。
やっぱり…
チラリと一瞬だけ視線を送った潤は、不機嫌そうな顔で家から持ってきたノートパソコンの画面を睨んでる。
最近、潤はずっと機嫌が悪い。
原因はわかってる。
俺が、みんなに俺たちの関係を隠しているから。
せめてメンバーにくらい…って気持ちもわかんないではないけど。
でもそうしたら、翔くんが1人になっちゃう。
俺たちまでニノと相葉ちゃんみたいに楽屋でいちゃいちゃしてたら、翔くん居心地悪くなるんじゃないかな?
せっかく今まで5人でここまでやってきたのに、そんなことでギクシャクするのは嫌なんだ。
それに…
怖い。
誰かにバレて、事務所に別れろって言われたら?
嫌だ
手放したくない
俺には、潤がすべてなのに