• テキストサイズ

kagero【気象系BL】

第2章 朧雲


【翔】

相葉くんにLINEを入れて、さっさと楽屋を出た。

『ずっと待ってる』

そんな言葉を残せば、彼がどう思うか?
分かっていて、敢えて送った。

ズルいのは百も承知だ。

汚い手を使ってることも分かってる。

でも……

そんなことでもしないと、
ふたりを崩せない。

真っ向勝負じゃ、あの二人の間に割って入ることなんか、出来っこないんだ。


昔……

相葉くんは俺のことが好きなのかも…
なんて、そう思っていた。

根拠はないけど、何となく…
何となくだけど、そうなのかもしれない、って…

だけど俺は、男の彼を、そういう対象として見ることはできないから。

気付かない振りをしていた。

でも、相葉くんはニノと付き合うことになって。

『な〜んだ、俺の思い違いだったんだ』
そう思った。

もうずっと前のことだ。

あのときの自分が、今の自分を見たら、驚くだろうな。

『分かってるよな?あいつは男だぞ』って…

知ってるさ…

彼が……男の相葉くんがいいんだ…

彼が…欲しいんだ…


真っ直ぐ家に帰った俺は、そのままシャワーを浴びてTシャツに着替えた。

それからテレビを付けて、冷蔵庫からビールを出して開け、バラエティー番組をぼんやり観ながらビールを煽った。

……

…………


まさか、来ないのかな?


時間だけが過ぎていき…
俺は、根拠のない自信を無くしそうになっていた。


その時………

来客を告げるインターフォンが。

来た!!

転がるようにソファから降り、モニターを確認すると、帽子を目深に被った待ち人の姿が。

俺は黙ってロックを解錠した。

/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp