第2章 朧雲
今…この瞬間、
俺は気付いてしまった…
説明のつかない思いが、何だったのか…
あの夜から…
俺の中で形を成さない、もやもやした思いが何だったのか…
俺は…
俺は……
雅紀が欲しい…
ニノから、彼を奪い取りたい。
涙を浮かべながらも、俺を受け入れてくれた相葉くん…
今まで感じたことのない快感のせいじゃない。
抱いたときに感じた、相葉くんを守りたいと思う気持ち…愛しさが、抑えても抑えても溢れだしてくるような感情…
それに気付かない様に、必死に抑え込もうとし、想いに蓋をしようとしていたけど…
もう抗えない…
抱き締めた彼が、不安そうに俺の名を呼ぶ。
俺は、耳元で囁いた。
「今夜、俺んちに来て…話があるんだ…」
「……」
相葉くんから身体を離し、その顔を見ると、何とも困ったような、情けない顔をしていて。
「そんな顔するなよ…彼女の事、報告したいし…」
そこまで言うと、ドアの開く気配がして、俺達は慌てて距離と取った。
「終わったら、LINEするから…」
慌ててそう言ってから素知らぬ顔でソファに座って新聞を広げた。
入ってきた松潤が、キョトンとした顔で俺たちのことを見比べていたけど、相葉くんも椅子に座って携帯を弄り出すと、
松潤も、
「おはよう~…あと5分でリハだよ…ニノと大野さんは?」
と、いつも通りに自分の席に座りながら言った。
「荷物あるから、来てるんじゃない??」
返事だけで新聞から顔を上げない俺。
「さっき、で、出て行ったけど…どうしたのかな~?俺、ちょっと、見てくる!」
相葉くんは、あたふたしながら部屋を出て行った。
「相葉くん、どうしたの?」
松潤の質問に、
「さあ~?」
俺は首を傾げて見せた。
相葉くんは、今夜俺に誘われたこと、
ニノに話すかな?
誘いを断って来るかな?
俺にとって、ひとつの賭けだった。