第2章 朧雲
「んっ…ま、さ…」
キスの間にニノが呼ぶ濡れた声が、俺の中で燻ってる欲情に火を点ける。
ここが楽屋ってことも忘れて、俺はニノの甘い唾液の滴る唇を貪るように吸った。
「んっ…ちょ…待った…」
身を捩って逃れようとする細腰をぐっと引き寄せ、更に深く舌を差し込む。
「んんっ…ふ、ぅっ…」
俺を押し戻そうと肩に掛かってた手が、するりと首へ回ってきた。
その時。
ガチャリ、とドアの開く音がして。
「おはよ~…あっ…」
リーダーの声がしたと思った瞬間、激しく肩を突き飛ばされて、椅子から転げ落ちた。
「痛ってぇ…!」
お尻を強かに打って、痛みに顔を顰める。
床に転がった情けない格好のまま見上げたニノは、耳まで真っ赤になってて。
「あいばかっ!すけべっ!」
自分だってその気になってたくせに、俺にばっかり罵声を浴びせると、ドアの所に立ち尽くしていたリーダーを押し退けて、楽屋を出て行った。
「あ~あ…」
「…大丈夫?相葉くん」
ニノの背中を見送りながら呆れた声を出したリーダーの後ろから、翔ちゃんが現れる。
どきん、と心臓が跳ねて、思わず顔を背けた。
「あ、だ、大丈夫…」
「俺、ニノ見てくるわ~」
「え、あ、リーダー、ほっといていいからっ…」
引き留めたのに、リーダーはふらりと楽屋を出て行って。
残ったのは床に伸びたまま立てない俺と、感情の読めない、どこか冷たい目で俺を見下ろす翔ちゃん。
射すような視線に耐えられなくて顔を伏せると、近付く足音が聞こえてきて。
「大丈夫?立てる?」
翔ちゃんの手が、視界にすっと入ってくる。
「あ、う、うん、大丈夫…」
その手を取らずに立ち上がると、ぐいっと手を強く引かれて。
気が付いたら
翔ちゃんの腕の中に、いた