第2章 朧雲
「ねえ~、ニノ~❤ちょっとだけ、言ってくんない~?」
「はあ~?ばっかじゃね~の?朝から、そんなの、言えるわけ、ね~じゃん!」
もう、顔どころか、首や耳まで真っ赤になってる筈の俺は、精一杯の強がりを並べた。
「じゃあ、朝から、こんなになってんは、誰ですか?」
雅紀は、ニヤニヤしながら、俺の脚の間のを、ぎゅっと握った。
「ひゃっ///」
反動で、変な声が出た。
俺は無遠慮な雅紀の手の甲を強めに抓った。
「痛っ///何すんだよ~」
慌てて手を引いたその隙に、俺は彼から離れ、毛布を身体に巻き付けたままベッドから飛び降りた。
「朝だから仕方ないだろ~?夕べ散々ヤリ捲ったくせに、もういい加減にしろよ!
この、スケベ野郎!!お前だって、同じじゃんか!」
毛布を剥ぎ取られて、寒そうに丸まった素っ裸の雅紀は、俺以上に大きくしていた。
「俺は、朝だからじゃないよ~?ニノが可愛いから、こうなってんの!
いつだって、ニノちゃんの事思って、こうなってるんだもん♪」
……もんじゃね~!もんじゃ///
「アホくさっ///もう起きないと遅れるぞ!今日マナブのロケでしょ?」
俺は緩んだ頬を見られたくなくて、さっさと背中を向けて寝室を出て行った。
……いつだって、雅紀の素直さが羨ましい。
天真爛漫の彼に…俺にない真っ直ぐさに、憧れる…
雅紀と一緒にいると、俺も少しでも素直になれるんじゃないかって…
真っ直ぐに怖がらずに、自分を出せるんじゃないかって…そんな気がするんだ。
だから……
雅紀…ずっと側にいてね。
これからも、俺の側で笑っていてね…
夕べ浮んだ、たくさんの疑問達を、
俺は頭の隅から追い出した。