• テキストサイズ

kagero【気象系BL】

第2章 朧雲


シャワーを浴びてベッドルームに向かうと、ニノはTシャツにパンツだけを履いてベッドに腰掛け、子どもみたいに足をぶらぶらさせていた。

そっと歩み寄り、隣へ腰掛ける。

ギシリ、とスプリングが沈む音がして。

ゆっくりとニノが顔を上げ、俺を見つめた。

その瞳の奥には、ゆらゆらと揺らめく情欲の光。

「…雅紀…」

可愛らしい手が伸びてきて。

肩を押されて、シーツの海へと沈む。

「…雅紀…雅紀…」

俺を呼ぶ声は、なぜか泣いているように聞こえて。

俺は誰よりも愛おしい体を抱き寄せた。



『…雅紀…』



一瞬、昨日の翔ちゃんの姿が浮かんだけど。

ぎゅっと眉間に力を入れて、頭の中から追い出す。

「ニノ…好きだよ。ニノだけ。世界で一番、ニノが好き…」

頬にキスを落としながら囁くと、小さく震える。

「ん…俺も…」

恥ずかしがって、いつもは口にしてくれないのに。

「俺も…雅紀が大好き…」

真っ直ぐに俺を見つめながら、思いを伝えてくれる。

「ニノ…」

目を閉じると、近付いてくる気配を感じて。

そっと、唇が重なった。

舌で唇を舐められて、誘われるように少しだけ開くと、するりと熱い舌が入ってくる。

歯列をなぞられ、舌を絡み取られて。

くちゅくちゅと俺たちの交わる音が、静寂に包まれた部屋に響く。

それだけで、頭の芯がボーッとしてきて。

なにも考えられなくなる。

腕の中の愛しい男のこと以外、なにも。

唇を合わせたまま薄い肩を掴み、力を入れて上半身を起こし、体勢をひっくり返した。

「…まさ、き…」

見上げる瞳は、もう欲情に濡れそぼっていて。

体が、カッと熱くなる。



ニノだけ

ニノだけだから…



「…雅紀…抱いて…」

初めて聞いた、俺だけを求める言葉に。

底の見えない快楽の沼へと、堕ちていった。


/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp