第12章 彩雲
【翔】
これって。
軽く鬼畜だよな…?
あ……軽くもねーか…
気持ちよくて、
そしてこの、マニア向けのAVみたいなシチュエーションに、
思いの外熱が上がってしまった俺は、
夢中で智くんの可愛い口に、猛り狂う己を抜き差ししていた
「…ん…っぐ…ぁっ…んん…」
智くんが、苦しそうなくぐもった声を漏らしながら、それでも、必死に、俺のに舌を絡みつける
その目尻からは、涙が伝わった
……さとしくん…
俺はもう、射精感を逃せなくなっていて、
そのまま頂点を極めようとしていた…けど…
理性を飛ばして、思考力を失った脳の片隅に、
ちかちかと、小さな青い灯が浮かぶ…
……智くん
彼の一生懸命な顔が、
使えない両手をカチカチと動かして、
全身でおれを受け入れてくれている、その姿が…
俺は動きを止めて、彼の口から出た
驚いた彼の口は、俺の形のまま固まっている
ふふふ…可愛い♡
とても40手前のおじさんとは思えないよ
…あ、俺もだっけ…
「どうして?」
キョトンとした顔の智くんには何も応えず、
俺はベッドを離れ、テーブルからペットボトルを持って来てから、鍵で彼の自由を奪っていた手錠を外してやった
「…翔くん…?」
「喉乾いたでしょ?水、飲む?」
「あ…うん…」
ボトルのキャップを開け、にっこり笑って智くんに向かって差し出すと、それを黙って見つめていた彼は、
「翔くんが、飲ませてよ…」
と言った
小さく2回ほど頷いた俺は、口に水を流し込み、そのまま唇を重ねた
顎を上げ、俺から移された水をゴクンと音を立てて飲み込んだ彼は、熱を持って潤んだ目で、じっと見つめてきた
「ごめんね…苦しかったでしょ?」
少し赤くなった手首を包んで、そっと撫でながら言った
すると智くんは、
「翔くん…なんで、やめたの?…もう少しだったのに…」
と言った
そんなこと言ってくれる智くんに、胸がぎゅっと締め付けられる