第12章 彩雲
「くぅぅぅ~っ///うんめっ♡…あ、これ柔らけ~♡」
「ホントだね!」
「大野くん、料理上手なんですね~」
「こんなの、ちょっと焼いただけだよ…誰でもできるし」
いやいや、マジで以外にも料理上手なんだよね~、智くん♡
「翔くん、これ、醬油ワサビ。これも食べてみてよ」
「…あ、うんめっ!これもいいね~」
「でしょ~♪」
「それにさ、なんで酎ハイにしたの?ビールもあったでしょ?」
「あ、ビールがよかった~?なんか、今日のアワビには、こっちかな~、って思ったんだよね」
「いや、もう、最高!!そのチョイス」
「よかった~、絶対翔くんそう言うって思ってたんだ~」
「マジで?さすが…」
「…あの…俺、そろそろ帰ります…」
「「えっ?なんで…」」
今日は示し合わせたようにハモるな~♪
「いや、後は二人でやってください」
「そうか~?まあ、あんまり引き留めても悪いしな~」
…俺。大丈夫か??顔が緩んでないか~?
立ち上がって、玄関に向かおうとした上田が、徐に振り返って、少し思いつめた表情で言った
「あの。確認ですけど、ふたりって、付き合ってるんすか?」
えっ??
「ぶーーーっ///」
智くんが後ろで酎ハイを噴霧したらしい
「な、なに言ってんだよ~、そ、そんなことある訳ないじゃん!」
あ、今、胸がチクンッって痛かった
「でも、なんか凄くいい雰囲気っていうか、二人の世界っていうか…」
「それは、メンバーだしさ。当たり前じゃん…」
…また、胸が…
背中に智くんの視線を感じた
「すみません!変な事言って。じゃ、俺帰ります!大野くん、ごちそう様でした」
「いや、こちらこそ。ごちそう様…」
智くんも、見送りに出てきた
………
玄関でブーツを履いている上田に、
「上田…」
俺は声をかけた
んっ??と言う顔をして振り向いた彼に、
「あのさ、俺…いや、俺たち…
俺と智くん、付き合ってるんだ」
そう言った。
その瞬間、智くんが小さく息を飲んだのを、背中越しに感じた