第12章 彩雲
【智】
ぶっちゃけ
おもしろくないっ!
わかってるよ~?
上田はホントに舎弟みたいに翔くんのこと慕ってて
決して邪な気持ちなんてないってこと!
でもさ~!
こんな夜中に突然訪問してくるなんて
ちょっとさぁ…
モヤモヤするじゃん!
し・か・も!
俺の!←ここ、大事!
翔くんとあんなにくっついてさぁっ!
あれ、キスする距離じゃんっ!
俺がキスする予定だったのにっ!
くっそ~!
どうやって追い出してやろうかっ!
なんて、腹ん中煮えたぎってたのに。
「でも、ほんと、仲イイっすよね~、兄貴たち。まじ、羨ましいっす!!」
ヤンキー上田とは思えぬ爽やか笑顔でサラッとそんなこと言われて。
なぜか翔くんとハモっちゃった。
なんなら、俺の方が声上擦ってたし…。
「そ、そっかな~?別に、他のメンバーと変わんないと思うけど~?」
翔くんがすっとぼけてみせたけど。
…目、めちゃめちゃ泳いでるし…
「んなことないっす!なんか、兄貴たちの間には、見えない鎖っつーか…そういうの、見えるんっすよね!」
「「く、鎖~っ!?」」
あ、またハモった…。
鎖って…
変なこと想像しちゃったじゃん!
チラッと翔くんを見上げると、なぜかちょっと恥ずかしそうに目元を赤くして俺を見てた。
おい…
今
絶対変な想像したな…?
「なんか、他の3人にはない、信頼関係っつーか…そういうの、感じるんっすよね~。なんか、特別感っていうか…」
「そ、そっかな~?それ、ホント~?」
「はいっ!」
特別感…
俺と翔くんが…
「むふっ…」
「さ、智くん…?」
無意識に、笑いが漏れちゃって。
「上田~っ!おまえ、なんていいやつなんだ~っ!」
「おわっ!」
気が付いたら。
上田に飛びついてハグしてた。
「ちょっ…!智くんっ!」
「上田~!おまえ、サイコー!」
「あ、ど、どうも…」
「なにしてんだよーっ!」