第12章 彩雲
「開けてもいい?」
「も、もちろんです!」
「結構重かったでしょ?」
そういいながら、丁寧に貼られたガムテープを剥がし、ふたを開けると、そこには、
「うおぉ〜!!すげぇ〜!」
アワビにサザエ、ホタテにつぶ貝…
有りとあらゆる高級貝類が、所狭しとひしめき合っていた。
「すげ〜な、こんなたくさんの貝、初めて見たわ!」
「わあ~…俺も初めて見たっす!」
上田が俺の脇から覗き込んでいる。
う゛…顔が、近い…
視線を感じて、そっとキッチンに目を向けると、能面の様な智くんが…
あ、やべっ///
「い、いいのかよ~、それなのに、俺んとこ持ってきちゃってさ~…」
俺は、さり気無く上田と距離を取りながら、智くんのいるキッチンへと足を向けた
「いいんですっ!!兄貴が喜んでくれるなら、俺はそれだけで幸せ感じるんっすから!」
あ…そ…そうか…
「はい、コーヒー入ったよ~」
能面が、少し乱暴に俺にトレイを突き出した
「あ、ありがと…じゃ、みんなで飲もうよ!持って来て貰ったの食べる~?」
「こんな時間に~?大体翔くんホタテとか、開けられんのかよ~?」
「ホタテ~?そんなのできる訳ないじゃん!」
「じゃあ、食べられないじゃん」
「智くんが出来るでしょ?」
「俺が~?つ~かさ。上田、ホタテ食べるの~?」
智くんにそう振られた上田は、
「いや…俺は、いいです…兄貴が食べてください…
っていうか、大野くん、よく来てるんですね?兄貴ん家」
「「えっ??」」
見事なシンクロに、上田は俺と智くんの顔を見くらべた…これもさっきあったよね?
えっと~…この場合は…何て言ったら…
「今日は、たまたまだよ。上田が来るって分かってたら、来なかったしさ…」
智くんはそう言いながら俺の顔をチラリとも見ずに、コーヒーを飲みながらソファーに座った。
……なんか、怒ってるよね?やっぱし…
こういう時は、どうすりゃいいんだ?俺…
「でも、ほんと、仲イイっすよね~、兄貴たち。まじ、羨ましいっす!!」
「「えっ??」」
本日2回目のシンクロ…
しかも今回は、少しハモる…