第11章 朝暉
【翔】
早く智くんに会いたくて…
会って、この腕の中に抱き締めたくて…
階数を示す数字を見上げながら、大きく深呼吸した。
がっつき過ぎるなよ!櫻井翔!!
鼻息荒くガンガン行くのはスマートじゃないぞ!
ここはひとつ、余裕のこと見せとかなきゃ…
そう決心して、チャイムを鳴らした…なのに。
「おかえりっ!」
智くんは、ゴムまりみたいに、いきなり俺の胸に飛び込んできた。
そんな出迎えの対応、準備してなかったから、どんな顔していいのか分かんなくって…
下から見上げる悪戯っぽい瞳に、ついつい呆れた顔をしてしまう。ほんとは、凄く嬉しいくせに…
今まで、ふたりの時間も、甘くて蕩けそう、とは程遠かった。
愛おしさ、故に切なくて…苦しくて…
やっと晴れて、恋人同になれたけど、何だか照れてしまって、上手く笑顔が作れない…
でも……
ずっと夢みてたから…
智くんと、こんな風にイチャイチャするの。
せっかく彼の方からこんな風に飛び込んでくれてるんだから…
俺からお帰りのチューを強請ってみた。
こんなことしてる自分に、ちょっとびっくりだけど…
……悪くない、かも♡
俺の両頬を、綺麗な指がしっとりと包んで、
可愛い唇が重なった。
『ピッチンッ…』
俺ん中で、何かが切れる音がして、
俺は一気に甘い咥内に舌先を差し込んだ。
がっつかない、って決めたたんじゃなかったっけ?
そんな俺の気持ちを受け取ってくれたであろう智くんも、直ぐにそれに応え、蕩けそうに熱い舌を絡ませてきた。
急に来た甘い痺れは、俺の脳髄を蕩けさせ、狂おしいほどの恋情を連れてきた。
早く…欲しい…
智くんの全て…気持ちも全部♡
この腕の中に…
逸る気持ちを、グッと押さえ込んで、俺は風呂へ急いだ。
「シャワー浴びてくるよ。今日は寝ないで待っててよ?」
夕べは寝られてしまったからね。
今夜こそは、逃がさないよ…智くん♪