第11章 朝暉
【智】
『…智くん…』
翔くん…
『…おいで…智くん…』
…あったかい…
あったかいね…
翔くん…………
「…智くん…」
俺を呼ぶ大好きな声が聞こえて。
重たい目蓋を開けた。
目の前には宇宙で一番大好きなイケメンの顔。
「…しょ…くん…?」
「おはよ」
「おはよ…って、ええっ!?」
朝の挨拶にびっくりして飛び起きると、適当に閉めたカーテンの隙間から、翔くんみたいな爽やかな朝の光が差し込んでて。
えっと…
あれ…?
昨日の夜、やっと翔くんと恋人同士になって…
んで、エッチしたいな~って思って…
たぶん翔くんもその気になってくれてて…
んで、翔くんがお風呂入って…
俺はベッドで待ってて…
その後の記憶がない………
ええーっ!?
俺、大事なとこで寝ちゃったの~っ!?
俺のバカっ!
なんでこんな時にいつでもどこでも寝れる特技を発揮してんだよ~っ!
「ご、ごめんねっ!」
「ん?なにが?」
「だ、だってさ…エッチ…出来なかった、よね…?」
「あぁ~、まぁ智くんだから仕方ないよね。生放送でも居眠りする人だもんね」
焦って謝ったら、翔くんはなにかを思い出したのか、クスクス笑い出した。
「この間のMステもさ、寝起きの顔、ワイプで抜かれてたじゃん」
「そ、そんなことないもん!寝てないもん!ちょっと…意識が遠退いただけで…」
「ぷぷっ…それ、居眠りだから」
朝から甘~い雰囲気を期待したのに、俺たちを包むのはいつも通りの空気で。
…おかしい…
俺たち、恋人同士になった…
んだよね…?
「ねぇ、翔くん…」
俺は頑張ってなるべく色っぽく聞こえそうな声を出した。
「ん~?」
「今からエッチ、しよ?」
誘うように、両腕を首に回す。
「いっぱい、気持ちよくして…?」
翔くんの喉仏が、ごきゅっと動いた。