第11章 朝暉
「じゃ、行ってくるから!!待っててよ~」
風呂に走って行こうとし、立ち止まった俺は、
「バスローブ、借りてもいい?」
と振り返って聞いた。
「うん、実はもう出してあるよ…」
「智くん!!」
ドアからまた戻って駆け寄った俺は、首を引き寄せてちゅうをした。
『ぶっちゅう~っ///』
って音がするようなやつ♡
脱衣所に入ると、ドアを閉め、大きく息を吐いた。
ああああ、夢じゃないだろうか?
ここまでの展開になるなんて、正直想像してなかったよ。
あ……
俺は、籠の中に、綺麗に畳まれた白いバスローブとタオルを見つけた。
俺を待ちながら、こっそり用意していた智くんを想像して、自然と顔がにやける…
松潤に呼び出された時は、まさかその夜に…
まあ、正確には日を跨いじゃったけど。
こんな素敵なご褒美が待っていたなんて!?
お釈迦様でもご存じないよ、絶対。
俺はベッドで待ってる智くんを想像し、
湯船に頭まで浸った。
音のない静かな世界…
松潤のことを思った
『お前が欲しいって、向かっていけばいい』
あんなことまで言わせてしまった俺は、
何てバカだったんだろう…
その償いは、智くんを守ること、そうだよな?
一生、全力で、彼を守っていく
約束するから……松潤…ごめんな
んで、ありがとう…
『よし!!』気合いを入れ直し、身体を隅々まで洗い、
落ち着きを取り戻した『おれ』も清めて…
さあ、いくか!
彼が用意してくれた白いバスローブに身を包み、パンツはないけど、まあいっか!どうせすぐに脱ぐんだし~♪
髪を軽く乾かした俺は寝室へ…
智くん、待ってるかな~?
『遅いよ!』なんて怒ったりして…♡
逸る期待を胸に押し込んで、そっとドアを開けた。
「おまたせぇ~…智くん…」
「……」
「さとし、くん…?え…」
見ると、ベッドの上に丸まった智くんが…
「…智くん…」
そっと声をかけると、ほんの少し口元を綻ばせたように見えたけど、その瞼は閉じたまま…
嘘だろ??
待ちくたびれた智くんは、すっかり夢の中だった。
しばらく眺めていたけど、起きそうもないので、
丸まったその身体に布団を掛け、
俺もその中に入り込み、背中から抱き締めた。
『おやすみ…智くん…いい夢…俺の夢、見ろよ』
彼のうなじに顔を埋め、落ちた瞼は開くことはなかった。