第11章 朝暉
【智】
ああ…
もうっ…
なんてカッコいいんだろ…♡
俺がウジウジ悩んでることなんてさ
パーンって一瞬で吹き飛ばしてくれちゃった
しかも
俺の前に跪いてまるでプロポーズみたいなことしてくれちゃって
むふ…
さっきの翔くん
王子様みたいだったなぁ~
ちょっとヘタレで
だいぶ撫で肩で
ちょっと運動オンチで
ちょっと抜けてるとこあって
それからそれから…
スゴくイケメンで
スゴく頭よくって
スゴく優しくって
スゴく気遣い屋さんで
誰よりもカッコいい
俺の王子様♡
「え…?智くん?」
ぎゅっと抱きしめてくれてた翔くんが、ゆっくりと体を離した。
「んもう…泣いてたんじゃないの?なんで笑ってんだよ~っ」
呆れた顔しながら、指先で頬を流れた涙を優しく拭いてくれた。
「だってぇ~、翔くんが王子様みたいにカッコいいなぁって思ったんだもん♡」
「だもん♡ってさ…」
ちょっと恥ずかしそうに頬を染めるのも、好き。
「…泣き虫」
俺の方が年上だけど、お兄ちゃんみたいに優しい眼差しで見てくれるのも、好き。
「…大好きだよ」
強い意志を込めた、曇りのない真っ直ぐな目が大好き。
「じょぉぐ~ん…」
「もぉ~また泣く~」
困ったように笑う顔も、大好き。
どんな翔くんだって、大好きなんだ。
「まったく…」
俺の涙を、ポケットから取り出したハンカチでゴシゴシと力任せに吹いてくれる。
「じょぉぐん…いだい…」
「ぷぷっ…鼻の頭まで真っ赤だよ。トナカイみたい」
「も~っ!なんだよぉっ…!」
せっかく甘~い雰囲気になりそうだったのにっ!
って文句を言おうとしたら。
蕩けるほど優しい顔した翔くんが、また俺をぎゅうっと抱き締めた。
「大好きだよ、智くん」