• テキストサイズ

kagero【気象系BL】

第10章 慈雨


【潤】

見ていられなくって。
堪らず部屋を出た俺の後を、相葉くんが追いかけてきた。

「……なんだよ?」
「えっ?なんだよ、って、なんだよ〜」

「あのさ…俺なんかのことはほっとけよ」
「松潤……」

自動販売機がふたつ並んだ休憩スペースには
俺と相葉くんしかいない…

そんな人目を気にしない空間のせいで、
俺はまた優しい彼に甘えてしまう…

「みんなに迷惑かけてさ、自分のことばっかり考えてる…どうしようもない俺のことなんか…もう構うな…」

「そんなことない!!」

人気が無いとはいえ、その声で誰かが
『何事か?』と駆けつけてきそうな…

見れば泣きそうな顔の相葉くんが、俺をじっと見ている。


「……」

「そんな…そんなこと言うなよ…松潤が、誰よりも優しくて、メンバーのことも、嵐のことも、凄く考えてて…大切に思ってること…俺、知ってるしさ…」

「…相葉くん…」

「嵐が大事だから、他の4人のことが好きだから…
だから苦しんだ…簡単には割り切れないんだよ…」

一生懸命に伝えようとする彼の目から、
真珠みたいな、綺麗な涙が零れ落ちた。


……泣くなよ…
俺なんかのために…そんな泣くな…

「…分かったから…一人にして欲し…」

「ダメだよ!一人にはしない!
…そう決めたんだ、ニノと…
松潤がちゃんと笑えるまで…
あの二人が…翔ちゃんとリーダーが付き合うことを認めなくってもいいんだ…
でも、ちゃんと松潤が心から笑えるまで…
俺たちは、嫌がられても側に…
ずっと側にいるから!」

「……相葉…くん…」

頬に違和感を覚えて手をやれば、それは俺の涙だった。

…俺……泣いてたのか…


「…苦しいのはさ、簡単に嵐を壊せないって…
大切な嵐を守りたいって、松潤がそう思ってるから…
本当に4人の中の誰かを憎いと思うなら、
嵐を壊してしまえば済むことじゃない…」

「……」

彼の言葉が、俺の心の奥を震わせた。


/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp