第10章 慈雨
翌日はファッション誌の取材と撮影
泊まってくれたニノと二人で現場に向かった。
ニノは相葉くんと入れ替わるように夕べ遅くに来て、風呂だけ入ってさっさと寝た。
こんなら自分ちに帰れよ~
ニノの寝顔を見ながら、ひとりそう呟いた俺の口元は、自然と微笑んでた
これなら大丈夫…きっと俺……
「おはようございま~す」
「おはよ~」
ふたりで現場に入ると、もう3人は来ていた。
メイクをしてもらっているのは相葉くん
自分で髪をセットしている智…
翔くんはマネと打ち合わせをしていた
この頃、個人の仕事が忙しい翔くんは、
スケジュール調整も大変そうだ
なんだか、ワザとつめつめにして、忙しくしているみたい…それはあたかも、自分で自分を追い込んでいるようにも見えた。
……翔くん…身体、壊さないと…いい、けど…
あ……
俺、翔くんのこと、心配してるんだ…
そんな自分が驚きだった。
撮影が始まる…
カメラマンさんの注文に合わせて、
俺たちはポージングを決めていく。
5人でのショットを何パターンも撮影した後、
俺と相葉くんとニノで何枚も撮った。
これはよくある組み合わせで…
と、いうことは、当然…
「はい、リーダー、翔くんに凭れてみようか~?」
「じゃ、次は翔くん、リーダーの肩組んで…
そう、いいね!」
「今度はね~…」
もう見ていられない俺は、トイレに行く振りで、堪らずその場をそっと離れた。
「松潤…」
それに気付いた相葉くんが俺を呼んだけど、気付かない振りをした。
………吹っ切れるって思ってた。
俺が許さないから、なんて、そんなの嫌だって思った。
だから、つきあえばって…そう言う気でいたのに
……二人の、他を寄せ付けないような空気感に、
胸が掻き毟られるように痛むんだ…
だって俺、まだ智が……
届かないって分かってるけど、
それでも……
消せない強い想いが……