第10章 慈雨
「うんまかった~!やっぱ、ここのチーズケーキ最高!」
オムライスで結構お腹いっぱいだったのに、3人ともチーズケーキをペロリと平らげてしまった。
「そういえば、翔くん蕎麦も食べてきたんじゃないの?」
「あ、そういえば…」
「んも~、食べ過ぎじゃない?また顔の輪郭、真ん丸になっちゃうよ~?」
手を伸ばして顎に触ると、その上に翔くんの手が重なる。
「さてと、俺はそろそろ帰るよ」
そんな俺たちをちょっと呆れた顔で見てたニノが、立ち上がった。
「え?帰るの?」
「うん。雅紀がJのとこにいるからさ。様子見てくる」
「あ…」
そっか…
相葉ちゃん、潤の傍にいてくれるんだ…
「…そんな顔、しないの」
余程情けない顔をしたのか、ニノが苦笑しながら俺のほっぺたをぎゅっと抓る。
「いひゃい…」
「さっき、言ったばっかでしょ?1人で抱え込まないって。今は、大野さんと潤くんはちょっと距離を置いた方がいい。だから、潤くんのことは俺たちに任せておいてよ」
「…ニノ…ありがとう…」
喋れない俺の代わりに翔くんがお礼を言うと、ようやく手を離してくれた。
「…ごめんな、ニノ」
「いいって。こういうときはお互い様。そのうち、ちゃんと借りは返してもらうからね」
戯けるようにそう言って。
「じゃ、また明日」
後ろ手に手を振りながら、帰って行った。
ニノが消えたドアをぼんやり眺めていると、翔くんの手が肩にかかって。
振り向くと、翔くんが俺を見つめていて。
その瞳の奥は、迷うように揺れている。
「…智くん…俺さ…今日、ここにいてもいいかな…?」
「…翔くん…」
本当は
こんなことしちゃいけないのかもしれない
でも…
「…うん…いいよ…」
俺
翔くんの傍にいたい