第1章 風花
【雅紀】
俺…
変だ…
どうして…?
どうして、拒否できないの…?
俺には、ニノがいるのに…
翔ちゃんはただの仲間で、友だちで。
ただ、それだけの存在のはず、なのに…
それだけ、の…………
もう
あの頃の想いは捨てたのに
「ん、ぁ…しょ…ちゃん…」
翔ちゃんの熱い舌が、俺の胸の尖端をねっとりと舐める。
その度にぞわぞわした感覚が体の奥から這い上がってきて。
全身を、包み込んでいく。
『ねえ、雅紀……俺に教えてくれなかなぁ……男が、イイっていうの…』
『一回だけでいいんだ…ニノには黙っていたら分かんないでしょ?
ふたりだけの、秘密、ってことにすれば…』
翔ちゃんの言葉が、こだまする。
ダメだよ、そんなの…
絶対にダメ…
だって…
これはニノに対する、裏切りだもん…
そう、わかっているのに…
「あぁ…翔ちゃん…もっと…」
俺の唇は、勝手にその先を強請る言葉を紡ぐ。
いけないのに…
こんなこと、あっちゃいけないのに…
俺は…
「雅紀…綺麗だよ…」
耳元で響く、翔ちゃんの色を帯びた声。
それを聞くたび、下半身が疼いて。
翔ちゃんって、こんな色っぽい声、出すんだ…
脳が、痺れる。
俺の全身が、翔ちゃんでいっぱいになっていく。
『…雅紀…』
頭の片隅で、ニノの声が聞こえたけど。
もう、その顔を思い出すことも、出来なくて。
体中を這う、熱い手のひら。
肌にかかる、熱い吐息。
上がっていく、体温。
それだけが、今ここにある全て。
もう、誤魔化せない。
俺は…………
翔ちゃんが
欲しい