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kagero【気象系BL】

第9章 暁


【ニノ】

強引だったかもしれない…

俺たちに背を向けた松潤の肩が震えている。


やっと雅紀が、絡まってしまった想いを解く糸口を見つけたところだったのに…

でも……

強引でも、
解決策がある訳じゃなくても

俺たちはバラバラでいるべきじゃない…

だって俺たちは嵐だから…

こんな風になってしまったけど、
きっとどこかに光はある!

それを5人で探せばいいんだ。

見つかるまで、何度だって…

見えなければ、見えるまで…


雅紀が松潤の肩を抱きかかえて
リビングに戻って行く。

その後ろから、俺たち3人もついて行った。


散らかって雑然としたリビング…
今の潤の心の中みたいだ。

暗闇の中……
迷っても、叫んでも、
先へ進む道は見えない…

抱きしめようとすればするほど、
愛する人は腕の中からいなくなる…

そんな恐怖と戦いながら、
徐々に壊れて行った松潤……

本当に笑顔を取り戻して欲しい…


「座ろっか…立ち話も何だし…」

「お前、この家の主かよ!」

仕切る雅紀にそう言ってふざけると、
雅紀も『だってさぁ~』とのって来てくれた。


俯いたままの松潤を座らせて、
雅紀もその隣に座った。

向いに大野さん、俺、翔ちゃんの順に腰掛けた。


………沈黙が…

苦しくなるくらいの沈黙が、部屋の中を支配しかけた。その時…

「ごめんね…潤の帰りを待って無くて…
勝手に迎えに来ちゃって」

優しく…
本当に穏やかに大野さんが松潤に語り掛けた。

弾かれたように顔を上げた松潤は、
正面の大野さんを睨みつけた…

どうしよう///えっと…


こんな時、いつも話を進めてくれ、
順序立ててきちんと話してくれる翔ちゃんが、
今はじっと黙って松潤を見つめている。

その目は、憐れんでいるというよりは、

松潤と一緒に苦しんでいるような…
そんな切なげな顔をしていた。


大切な仲間のそんな顔を見ていると、
俺も胸が苦しくなった。



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