第9章 暁
かと言って、帰るわけにもいかず…。
無理やり理由をつけて、居残った。
「ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫!どうせゲームしてるだけだからっ!」
訝しがる松潤を説得し、3人を待った。
20分ほど経った頃。
部屋のインターフォンが鳴って。
思わず、ビクッと震えてしまった。
「…誰だろ?」
松潤がモニターを覗くのを、口から心臓が出そうなくらい緊張しながら見る。
「あ…相葉くん、お迎えきたよ?」
松潤は、小さく笑いながらそう言って。
「ニノ?中入る?」
『ああ。ありがと』
ポチッと、エントランスを解錠するボタンを押した。
それから玄関へ向かう背中を、慌てて追いかける。
「なに?どうしたの?」
松潤は、バタバタとついてきた俺に、不思議そうな目を向けた。
「いや…ちょっと…」
「そんな、恐いの?」
「いや、そういうわけじゃないけど…」
「じゃあなに…」
その時、部屋の前のチャイムが鳴った。
なんの疑問も持ってない松潤は、あっさり鍵を開けて。
そこに立ってたおーちゃんの姿に息を飲んだ。
「…潤…」
おーちゃんの呼ぶ声に、松潤は大きく震えて。
逃げるように、リビングへと踵を返そうとする。
咄嗟に、俺はその腕を掴んだ。
「っ…離せっ…」
「やだ、離さないっ!」
玄関で揉み合ってる間に、ニノと翔ちゃんが入ってきて。
ガチャンとドアの鍵を閉めた。
その音に、また大きく震えて。
暴れるのをピタッとやめると、悔しそうに唇を噛む。
その瞳には、絶望の色が一瞬で広がっていた。
「…なにしに、きた…」
苦しげに押し出した声も、震えてて。
「…潤…ちゃんと、話をしよう…?俺たちの、こと…」
おーちゃんの穏やかな声に、観念したように目を閉じた。