第9章 暁
「この後、どうする?」
大体食べ終わって、俺は翔ちゃんに聞いた。
「そうだね…」
翔ちゃんは大野さんに視線を送る。
直ぐに東京で松潤に会っても大丈夫なのか?
って、そういう事なのかな?
今頃雅紀が松潤を止めててくれてるはずだから。
にしても……
あいつ、上手くやってるかな~?
「合流するかどうかは、相葉くんと連絡取ってからでいいよね?」
そう言う翔ちゃんに、
「そうだね、お風呂にも入りたいし…髭も剃って…スッキリしよっかな…」
大野さんはそう笑った。
その儚げな笑顔に、胸が締め付けられる。
俺たちは一端大野さんのマンションに行くことにした。
作戦も立てたい。
当たって砕けろじゃ、危険すぎるもんね…
失敗は許されない。
いや、分かり合えるまで…
松潤の悲しみも、
大野さんの痛みも、
翔ちゃんの苦しみも、
俺たちは向き合わなきゃいけない…
3人だけのことじゃない…
5人で……
嵐を続けていくために…
「適当にその辺座ってて…」
「「うん」」
大野さんはそう言って風呂に行った。
久々に帰って来たんだろう。
主のいなかった部屋は、時間が止まったように、
テーブルのマグカップも、
畳まれていない洗濯物も、
全てが時が止まったかのように、
そこにあった。
「翔ちゃん、この後さ…」
「うん…」
「ほんとに松潤と雅紀に合流する?」
「そうだな~…このまま、またね、
って訳にも行かないだろうしね…」
「じゃ、俺、雅紀に電話してみるよ」
「ありがと…」
翔ちゃんは悲壮感漂う顔でニッコリ笑った。
この人も……
なんだか苦労するよな。
そんな言い方、なんか他人事みたいだし、
何なら俺もガッツリ絡んでるんだけど…
行きの車では、俺に泣いて謝って、
今度は松潤……
もっと楽な道もあるだろうに…
「翔ちゃん…きっと大丈夫だよ…
5人で積み上げてきた時間が、きっと、
いい方へ連れてってくれるよ…
頑張ろうよ」
「……うん…」
翔ちゃんは目に涙を溜めて、
キュッと唇をかんだ。
そんな翔ちゃんに、力強く頷いた俺は、
携帯を出して、雅紀に繋がるボタンをタップした。