第9章 暁
「このままここに居るのが、最良の方法だとは思わないよ」
さっきよりも少し落ち着いた大野さんの前に跪き、俯く顔をのぞき込みながら翔ちゃんが話し出した。
「……」
「智くんとここに二人でいても、何も解決しない。
潤は毎日ここに帰って来ていても、ちっとも幸せそうじゃない…」
「…翔くん……」
「俺が……ニノも相葉くんも、二人を助けたいって、
心からそう願っている…ね!ニノ…」
急に翔ちゃんが俺に向かって笑顔を見せた。
それに合わせて、大野さんも顔を上げて
俺のことを見た。
泣いてぐちゃぐちゃの真っ赤な目で……
「そ、そんな不細工な顔して…全くさ…」
「だって///……しょうがないじゃん…」
俺の言葉に、ぷっと膨れた大野さんが、
なんだか猛烈に愛しくて……
俺は思わず、翔ちゃんと反対側に座って、
彼の肩を抱き締めた。
痩せて…薄くなった肩を……
「松潤の事は、大丈夫だから…
俺たちが、俺と雅紀が笑顔にするから…」
「ニノ…」
「だから~、ビジュアル、ぐちゃぐちゃだってば!」
「ニノ~///」
大野さんは俺にしがみ付いて来た。
いっぱい哭けばいい。
今まで我慢してたこと、
全部吐き出せばいい…
そこから始めようよ。
松潤も……吐き出せないから、
一人で抱え続けてたから、
だから壊れた……
「全部、出しちゃえばいいよ…
俺たち3人…こう見えて、意外と頼れるよ?」
「…そう、かな~」
「あ、そう言う事言うか~??」
笑って大野さんの首を絞める振りをすると、
大野さんも笑った。
翔ちゃんもそれを見て笑ってる。
泣いて……
泣いて、泣いて、泣いて……
涙が枯れたら、笑えるから、きっと。
「翔ちゃん、このまま、大野さんを東京に連れて帰ろうよ。松潤には、俺から連絡するから…」
「…うん……智くん、いいね?」
「……うん……ありがと…」
そう頷いた大野さんの頬に
また、涙が零れ落ちた。