第9章 暁
【ニノ】
泣き崩れる大野さんの肩を、
翔ちゃんがしっかりと抱き留めて、
二人一緒に立ち上がった。
翔ちゃんも脚、やっちゃってるし、
大野さんもこんなだから、支え合うのも危なっかしくて見ていらんないから……
よろける二人を慌てて支え、部屋のソファーまで連れて行った。
ふと。
危なっかしくても、脆くても、
こうやって支え合いながら
ここまで嵐を牽引してきた二人なんだと…
そんな気がした。
こんなボロボロで、傷だらけでも…
そう思うと、
何だか急に、泣きそうになる。
「しょうくん…ごめん…ケガさせ、ちゃって…俺…」
「智くんのせいじゃないから」
「でも…でも、俺…」
しゃくりあげて号泣する大野さん…
精神的に追い詰められてるのは確かだろう。
このままじゃ、松潤だけじゃなくて、
大野さんも壊れてしまう…
助けたい///
俺も…
でも…どうすればいい??
何が出来る??
「智くん…俺が潤と話そうか?」
翔ちゃんが大野さんの背中を摩りながら言った。
「えっ?そんなの…そんなのダメだよ///」
涙でぐちゃぐちゃの顔を上げて言う大野さん…
そんな彼を真っ直ぐ見つめて、翔ちゃんは言った。
「智くんに、ちゃんと松潤と片を付けろ、なんて言ったけど…逃げてただけだって…
自分は傷付かない場所に居て、智くんにだけ、背負わせてしまった///」
「翔くん…そんなこと…」
「ごめん…智くん…」
項垂れたまま、しゃくりあげる大野さんを優しく擦る翔ちゃん…
そんな二人を、俺は側で見守るしかなくて…
いつも一生懸命な翔ちゃん、
いっぱい考えて、最良の方法を模索し、
俺たちのリーダー的存在だった彼。
大野さんも、そんな翔ちゃんを尊重し、
尊敬し、全幅の信頼を寄せていた。
別の感情が生まれても、
何も不思議じゃない……
俺と雅紀がそうだったように、
近すぎて見えない…
側にいるから気付けない……
大切なものに。
俺は……
俺にできるのは……