• テキストサイズ

kagero【気象系BL】

第8章 淫雨


「え…?」

一瞬、意味が分からなくて言葉に詰まった俺に、ニノは深い溜め息を浴びせかけた。

「そもそも…おまえと翔ちゃんがあんなことにならなきゃ、翔ちゃんは大野さんに手を出さなかったし…潤くんと大野さんも、あんな風にならなかった」
「そんな、こと…」


関係ないって

言えるはずなかった


長い間の俺たちの距離を崩したのは

間違いなく俺と翔ちゃんだから


「…今更、そんなこと言っても仕方ないけど…」

苦しそうに寄せられた眉間の皺に、ニノの苦悩が透けて見える。


今まで、俺には見せることのなかった

ニノの苦しみ


表面上は元の関係に戻ったように見えても

ずっとなにかが心の奥で燻ってるんだ


「だから…潤くんと大野さんだけの問題じゃないんだ。俺たちみんなで、潤くんを元に戻さなきゃ。みんなで、また心から笑い合える関係にならなきゃ…その場しのぎで今をどうにかしても、俺たちはまた同じことを繰り返す」
「…ニノ…ごめん、俺…」
「雅紀」

謝ろうとした俺を、ニノの強い口調が遮った。

「謝罪の言葉なんて、いらない。本当に俺に悪いと思ってんなら、態度で見せろよ」
「態度っ、て…?」
「潤くんを元に戻して、大野さんをまたこの場所に帰すにはどうしたらいいか、ちゃんと考えろ」
「か、考えろって…」


無理だよ…!

俺、ニノや翔ちゃんみたいに、頭良くないしっ!


「そんなの、関係ない。俺たちそれぞれが、ちゃんと考えて責任取らなきゃならないんだ」

ニノの瞳は厳しくて。

俺にそこから逃げることを許さない。

「で、でもさ…」
「…おまえ、明日潤くんと2人で撮影だよな?」
「う、うん…」
「…俺、翔ちゃんと2人で大野さんに会ってくる。その間、おまえは潤くんを足留めして、解決策を探れ」
「ええ~っ!?無理だよ!そんなこと…」
「やるんだよ」

無理だって何度も言ったのに、聞き入れてもらえなくて。


しぶしぶ、頷くしかなかった。


/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp