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kagero【気象系BL】

第8章 淫雨



ぐったりとした智くんを抱えた松潤は、
そのまま部屋の中に入って行ってしまい、
部屋の灯りが届かなくなった雑木林は、
漆黒の闇に包まれた。


…………

太い松の幹に隠れた俺は、
そのまま暫くそこを動き出せずにいた。


………

今頃、智くんは…


『俺は大丈夫だから…
潤が元に戻ったら、必ず戻るから』

そう言った智くん…


潤が戻るって…

やっぱり松潤は、正気じゃないんだ。
それを智くんも分かっている…

大体、こんな場所に智くんを監禁して、
行方不明の大騒ぎになっても、知らん顔してたこと自体がもう、普通じゃない…

っていうか、もう、それこそ狂気の沙汰だ。


……でも、智くんは、自分で玄関の鍵を開けた。

外側から施錠して
閉じ込めているんじゃないとすれば、
どうして智くんは、逃げて来ないんだ…

仕事に出れば、暫く戻ってこないことは、
分かり切ったことなのに。


望んで、あそこにいるのか?


………


俺の脳裏にさっき見た、
松潤の、智くんへのレイプ紛いの行為を思い出した。


助け出さなきゃ///

智くんと

松潤を……


だけど…どうすればいい?

どうすれば、二人を元に戻せるんだ?

堂々巡りの思いが、俺をイラつかせる。


「いてっ///」

車まで歩き出そうとして、
その時初めて、左脚を挫いたことに気付いた。

さっき、ベランダから飛び降りたときか…

また少し歩くと、ズキンという鈍い痛みが
足首にあるものの、
全く歩けないと言う訳じゃなく。

骨は、大丈夫そうだな~…
それに、左なら運転にも支障はなさそうだし。


左脚を引き摺りながら、
ゆっくり車に戻った俺は、
取りあえずその場から離れるためにエンジンをかけて、細い道を国道へと車を走らせた。


10分ほど走らせ、コンビニの駐車場に車を停めた。

その時、狙いすましたように携帯が鳴った。


画面を観ると、ニノだった。


俺はしばらく考えてから、
画面を指をスライドさせた。


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