第1章 風花
「じゃ、とりあえずは、飲も♪話はそれからね!」
「「かんぱ~い!」」
俺たちは良く冷えた白ワインのグラスを軽く合わせて、乾杯した。
「最近、どう~?」
「どうって…何がだよ…」
俺がクスクス笑うと、相葉くんは少しテレて、
「だよね~…俺と翔ちゃんの仲で、その質問は愚問だったよね~」
「ふふふ、でも、いきなり悩みって何だよ?っていうのも悪いって、そう思ったんだろ~?ありがとな~」
「いや、そんなこともないけどさ…結構、ガッツリ楽しく飲んで食べれば、ちょっとした悩みは、どうでもよくなったりするもんじゃん!
だからさ…飲もう飲もう」
相葉くんの気遣いが嬉しい…
ほんとにさ。
相葉くん、君っていい人だよね…
……いい人だから、敵はいないんだろうけど…
その人の好さに着け込む輩が、現れるんだよ…
俺も…その一人…なのかな…?
俺たちは他愛もない話をしながら酒を飲んだ。
この頃よく眠れていないせいもあって、一気に酒が回った。
「ちょっとトイレ…」
立ち上がると、ふわっと身体が揺れた。
あ…まずい…
バランスを崩した俺を相葉くんがさっと抱き留めてくれた。
「大丈夫?翔ちゃん!」
……直ぐ近くで見る彼の顔…
相葉くんって、こんなにカッコ良かったのかな?
「ちょっと横になるといいよ!俺、濡れタオル貰ってくる!」
……あ~、頭痛て~…これじゃ、どうこうできな…
えっ??
気が付くと、ソファーで横になる俺の頭を、相葉くんは自分の膝に乗せて冷たいタオルをおでこに乗せてくれた。
「こうしてると、少しは楽になるよ」
「…ごめんね…」
彼の優しさが胸に染みた。