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kagero【気象系BL】

第7章 湖月


「あ、仕事のことなら心配いらないよ?マネには、リーダーは俺の部屋で寝込んでるって伝えておいたから」
「…なんで、そんなこと…」


本当は、ふざけんなって怒鳴りたかった

でも、どこか焦点の合ってない潤の眼差しに絡め取られて

身が竦んだ


「だから、じっくり身体に思い出させてあげる。智が本当は誰が好きなのかって」

そう言って、ベッドサイドの引き出しからなにかを取り出した。

「それ、は…」

見覚えが、あった。

ネット通販で、こういうの試したら面白いかなってふざけて買った、媚薬。

でも、翌日の仕事のこととか考えるとなかなか使う機会がなくて。

もう存在自体を忘れてた白い錠剤を、潤は手のひらに取り出した。

「明日は俺も休みにしてもらったし、今夜はいっぱい愛してあげるね?」
「や、やだ…」
「なんで?買うときには智の方が乗り気だったじゃん」
「潤、やめて…」

拒否の言葉を口にすると、また表情が消える。

そうして無言のままペットボトルの水を含むと、その白い錠剤を口に含んだ。

「やだっ…」

逃げようとしたけど、手を拘束されててはどうしようもなくて。

顎を掴まれて、無理やり口を開けさせられる。

「いやっ…じゅ、んんっ…!」

覆い被さるように口を塞がれて、冷たい水が一気に流れ込んできた。

「ん…んぐっ…げほっ…」

苦しさに、それを飲み干してしまった。

また噎せてしまった俺の背中を、潤の手が擦る。

「大丈夫。俺も一緒に飲むからね?」

そう言いながら、もう一つを自分の口に放り込んで、水を一気に飲み干した。

「智…一緒に、気持ちよくなろ…?」


ゆっくりと

紅い唇が近付いてくる



観念して目を閉じると

一瞬だけ

翔くんの顔が頭をよぎった


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