第7章 湖月
【智】
「いやっ…やめて、潤っ…!」
両手をヘッドボードに縛り付けられて。
身動き出来ないように、馬乗りになられて。
見たこともない、怒りに染まった瞳で見下ろされて。
恐怖で、身体が勝手にガタガタと震えた。
「…お願い…やめて…」
「やめない…智が、俺のこと愛してるって思い出すまで」
「だから…それは、もう…」
「うるさいっ!」
言葉の先を遮るように、唇をぶつけてくる。
「んんっ…」
顔を背けようとしたら、顎を掴まれて。
無理やり、舌がねじ込まれた。
「んっ…ふ…」
熱い舌が、俺のそれを絡め取る。
わざと音が響くように、唇を吸ったり舐めたりされて。
その動きに、音に、ぞわりと背中が粟立った。
慣れた感覚に
眠っていた官能が呼び起こされる
嫌だと思っているのに、気が付いたら潤の舌に応えるように自分の舌を絡めてしまっていて。
心と身体が
バラバラになる感覚
「ふっ…な~んだ。やっぱり智だって俺を待ってたんじゃん」
長いキスの後、ようやく唇を離した潤が、愉しそうに笑った。
「ちが…そんなこと、ない…」
「嘘ばっかり…だって、身体は正直だよ?」
嘲笑いながら、ズボンの上から俺の股間を掴む。
「あんっ…」
反射的に、声が漏れた。
「智の身体は、俺が好きだって、正直に応えてるけど?」
そのまま、緩く勃ち上がり始めていた中心を、布越しに握られて。
ゆるゆると刺激される。
「あっ…やっ…やめっ…」
「ほら、大きくなってきた。素直に言いなよ?本当は俺に触って欲しかったんだって」
「潤っ…いやだっ…」
「…嘘だ…」
「やめてっ…潤っ…!」
「…嘘つき…」
俺を見つめる潤の瞳は
凍てつくように冷たかった