第1章 風花
数日後。
その日は収録の後に、翔ちゃんと2人で雑誌の撮影が残ってた。
「終わったら連絡するね!」
そそくさと帰り支度をする背中に声を掛けると、嫌そうな顔で振り向く。
「いらない。たまには自分ちに帰れよ!」
「え~、そんなこと言わないで~」
「俺んちに住み着くな!」
「相変わらず仲良しだねぇ、2人」
「はぁ!?大野さん、なに言ってんの!」
「でしょ~?仲良しだもん!」
嫌がるニノの肩を抱き寄せると、リーダーは嬉しそうにふにゃふにゃ笑った。
「はいはい。イチャイチャすんのは帰ってからにしろ~」
松潤は呆れたように言ったけど、顔は笑ってる。
何気なく翔ちゃんに視線を移すと、怖いくらいに真剣な眼差しでこっちを見てて。
思わず、肩を抱いていた手を離した。
「…相葉さん?どうしたの?」
ニノが、怪訝そうな顔を向ける。
「う、ううん、なんでも、ない…」
「相葉くん、そろそろ行くよ」
呼ぶ声に、再び翔ちゃんを見れば、いつものように笑ってて。
あ、あれ?
普通じゃん。
さっきの、なんだったんだろう?
「あ、うん。じゃあ、連絡すっから!待っててねん❤」
ニノを一度ぎゅうっと抱き締めて、急いで翔ちゃんの背中を追う。
「も、もうっ!しなくていいからっ!あいばかっ!」
「んふふっ、やっぱり仲良しだぁ」
「だから、家に帰ってからにしろって…」
3人の声を背に、楽屋を出た。
「ホント、仲良しだよなぁ。羨ましいよ」
翔ちゃんが笑いながら、そう言った。