第6章 霧海
「ホント、バカ…」
「ごめんねぇ、ニノちゃん」
盛り上がっちゃった俺たちは、その後抜かずの3発をこなし。
最後、ニノは腰を押さえてベッドに沈んだ。
「でもさぁ、すっごい気持ちよかったでしょ?」
ベッドにうつ伏せで寝転んだニノの腰をマッサージしながら訊ねると、ホンノリと目元を赤くして、ぷぃっと横を向いた。
「知らないっ…」
「またまたぁ~!すっごい声でよがってたよ?」
ホントのこと言ったら、すごい目で睨まれる。
「うっさい、あいばか」
「ひどっ!」
でも…
ようやく、いつもの日常が戻ってきた気がする…
「なに、ニヤニヤしてんだよ。スケベ」
「そうだよ~、スケベだもん♪そんなスケベな俺が好きなくせに~」
「…バカ…」
俺の言葉にハッキリとは反論せずに、シーツに顔を押し付ける。
でも、唯一見えてる耳は赤くなってて。
ふふ、可愛いの❤
俺はほくそ笑みながら、一生懸命腰をマッサージし続けた。
「…なぁ、雅紀…」
そんな中、顔をベッドに埋めたまま、ぼそりとニノが呟く。
「ん~?なに~?」
「明日の、取材さぁ…」
でも、それだけ言って、言葉を呑み込んでしまった。
「…やっぱ、なんでもない」
ニノの言いたいこと、わかってる。
明日の取材、翔ちゃんと二人だから…
俺は、そっとニノの頭を撫でた。
「明日さぁ、終わり7時の予定なの。だから、終わったらここに帰ってくるね」
「…来んなよ…」
「来る!絶対!だから、待っててね!」
強く、そう言うと。
ニノは少しだけ顔をずらして、片目だけを俺の方に向けて。
「…待ってる…」
小さな声で、そう答えてくれた。