第6章 霧海
【和也】
……ああ…やっぱりここだったんだ…
俺のいるべき場所は…
雅紀の腕の中にしっかりと包まれながら、
激しくかわす口づけは、
俺の心に残った面倒くさいわだかまりを、
緩やかに解いていく…
「雅紀…好き…」
角度を変えるために、一瞬だけ離れたその隙に、
捻じ込むように囁くと、
俺の背中に回る雅紀の腕が、
隙間を埋める様に一層強く絡みつく。
「…んぁっ…」
激しく舌を絡め取られ、思わず漏れてしまった甘い吐息に、耳まで熱くなるのが分かる…
軋むほどに抱き締めていた腕を解き、
その両手で俺の頬を包んで顔を覗き込んできた雅紀。
恥ずかしくて…
俯こうとするけど、雅紀の手がそれを許さない。
「ニノ…顔、よく見せて~」
「ヤダ…」
「もう見てるもん❤こっち見て?」
「……」
ゆっくりと視線を上げて目の前の顔を見る。
ニッコリと微笑んで、優しい目で俺を見てた。
……雅紀…俺の大好きな笑顔…
許せるか、許せないかなんて、
そんなの関係なかったんだ…
雅紀が何をしたとしても…
どんな酷い裏切りだったとしても、
俺はこいつから離れられないんだ…
何があっても…
悩むことも、考えることも無かった…
雅紀がいないと、
生きていけないんだ、俺…
「ニノ…そんな可愛い顔しないでよ…
このまま押し倒しちゃいそう…」
「いいよ…」
「……」
「俺は雅紀が愛してくれるんなら、いつだって、
どこだっていいんだ…」
「ニノ…」
「愛してる…雅紀…」
「…にのぉ~//////」
ガツッン///
ローテーブルが鈍い音を立てた。
「痛ってぇ~…」
ホントに押し倒してきたから、俺の頭は、
そのままテーブルの角にぶつかった。
「ごめ~ん、ニノちゃん!!どこ?どこぶつけた??」
大慌ての雅紀が俺の髪を掻き分けて、
ジンジンするそこを探している。