第1章 風花
【雅紀】
「なんか、翔ちゃん変だったね…」
翔ちゃんと別れ、ニノの家に2人で戻ってきた。
別れ際、どこか寂しそうな翔ちゃんの背中がやけに気になって。
「彼女と…うまくいってないのかな?」
淹れてくれたコーヒーの入ったマグを受け取りながら、思わずニノに訊ねてみた。
「さぁね…」
ニノは、色違いのマグを持って、俺の隣にぴったりと寄り添いながらソファに腰掛ける。
「だってさ、変じゃん。男同士どう?なんてさ。今までは、俺たちのことわかんないって顔、してたのに…」
今でも覚えてる。
初めて3人に打ち明けた日。
リーダーは泣きながら喜んでくれて。
松潤も笑顔でおめでとうって言ってくれたけど。
翔ちゃんの顔は、思いっきり引き攣ってた。
なんとなく、その場の雰囲気に流されるように祝福してくれたけど。
まるで宇宙人でも見るみたいな顔で、俺たちのこと見てたんだ。
「まさか…本当に男の人好きになったんじゃないよね?」
「…翔ちゃんに限って、そんなことないと思うけどね…」
ニノは小さくため息を吐くと、マグをテーブルの上に置き、俺の首にするりと両腕を巻き付けた。
「もう…翔ちゃんのことはどうだっていいよ。そんなことより、イチャイチャしよ?」
「え?だってさ、ゴムないからダメだって…」
「んもう!雅紀は俺とイチャイチャしたくないの!?」
いつもは受け身なニノが、そんな風に誘ってくるのは珍しくて。
「する!するに決まってんじゃん!」
抱きついたままのニノの体を、横抱きにして立ち上がる。
「わぁっ…危ないだろっ!」
尖らせた花のような唇にキスを落として。
「目眩く夜へ、レッツゴー!」
「…ばかじゃないの?」
ベッドルームへと向かった。