• テキストサイズ

kagero【気象系BL】

第6章 霧海



「ねぇ、ハンバーグさ、何味にする〜?」

ゲームを中断し、声のした方を見ると、
カウンターから、顔を出した雅紀は、
いつもと変わらぬ、優しい眼差しで俺を見ていた。

「え?あ…えっと…逆に、何味があんの?」

ドキマギした俺は、目を反らせながら聞いた。

「おろしと、デミかなぁ〜」

「ふぅ〜ん…じゃ、デミで……」

「おっけ〜♪」

俺の答えにニッコリ笑ってから、また引っ込んだ。


………俺がこんな態度なのにさ、
お前はどうしてそんなに変わらず居られるんだよ。

……こんな天の邪鬼で、
素直になれないヤツのことなんか、

俺ならとっくに愛想つかしてるよ。


雅紀………

俺さ…雅紀のことが……


「ニノ〜、先に風呂入っちゃえば?
ハンバーグ、愛情たっぷり入れないとさ、
美味しくなんないから、もう少しかかるんだよね〜♪」

「…分かった…」

立ち上がって、もう一度ちらっと雅紀を見ると、
「愛情、たっぷりな❤️」

そう、へたっぴなウインクをした。

「ばーか…」


俺は逃げるように、風呂場に向かった。


あいつは、ああいう性格だから、
あんな明るく振る舞ってるくせに、
自分のことをまだ許せないでいるはずだ。

だから、
俺から歩み寄ってくれるのを待ってるんだ。


………俺から……


分かってる……

素直になれよ、二宮和也。

好きなら、好きだとぶつかってけよ…


湯船の中で、
覚悟を決めようと、じっと目を閉じた。

その時、

「にのちゃ〜ん、出来たよ〜♪
早く出ておいで〜」

脱衣所のドアを開けて、雅紀が俺を呼んだ。


「はーい…」


よし。
つまらない意地を張るのも、
素直じゃない自分も、

今夜は脱ぎ捨ててみよう……


俺は、気合いを入れ直して立ち上がった。


/ 351ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp