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kagero【気象系BL】

第5章 霖雨


優しくベッドに降ろされて。

リビングから漏れるほんの少しの灯りを背に、翔くんが俺に覆い被さってくる。

影になって、その表情がよく見えなくて。


『…智…』


不意に、その姿に潤の面影が重なった。

「智くん…?」

思わず息を呑んだ俺を、翔くんが訝しげに眉を顰めて見下ろす。

「どうしたの?やっぱ…止める?」
「…やだ…やめない…」


忘れるんだ

潤のことは

だってもう



あの頃の気持ちには

戻れない



見てもいない、潤と健くんの絡み合う姿が、脳裏に浮かんできて。

俺は翔くんに腕を伸ばしてその背中を引き寄せ、ぎゅうっと抱きついた。

「お願い…忘れたい…全部……忘れ、させて……」

翔くんは一瞬の躊躇の後。

なにも言わずに上半身を倒し、唇を押し当ててきた。

舌が入ってくるのと同時に、Tシャツを捲られて。

熱い手が、肌の上を滑った。

「ん…ふっ…」

思わず声が出ちゃったら、唇を重ねたまま、クスッと翔くんが笑う。

「かわいい声…敏感なの…?」
「やっ…言わないで…」

恥ずかしさに身悶えすると、いきなり胸の先をきゅっと摘ままれて。

「やぁっ…」

体が、跳ねた。

「…その声、やば…」

翔くんの声が、ほんの少し低くなる。

そのまま唇をずらして。

顎から、首、鎖骨へとキスをしながら徐々に下へと降りてくる。

だけど、胸の先に辿り着くと期待したそれは、焦らすようにそこを外して。

俺は早く舐めて欲しくって、ぶるっと震えた。



翔くん、慣れてる…?

もしかして…



翔くんの恋人って…




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