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kagero【気象系BL】

第4章 天泣


【雅紀】



そんな彼を

見たことがなかった



もう20年以上傍にいるのに、初めて見る姿だった。

俺を嘲るような言葉を吐き、滅茶苦茶に俺の体を蹂躙しているのに。

その顔は、苦しげに歪んでいる。


本当はこんなことしたくないんだって、そう言ってる気がする…


心と体がバラバラになってる…



俺の、せいで……



「はっ…あ、あっ…んぁ…」
「ほら、ちゃんと言えよ。俺の方がいいって」
「あっ…ん、あっ…い、いっ…いいっ…」
「それじゃ、わかんねぇだろ」
「いいっ…ニノの方が…いいっ…」
「…嘘つき」

低い声で呟くと、俺の足を抱え直して、最奥までねじ込んできた。

「んあぁぁっ…!」

雷に打たれたようなものすごい快感が、全身を駆け抜けてった。

「…もうすっかり、開発済みってわけ…」

嘲りを含んだ声が、落ちる。

憤りを中に埋め込むように、俺の奥を激しく穿つ。

「あっ…あ、あ、あっ…いいっ…」
「ほら、もっと啼けよ。あいつの前で啼いたみたいにさ」
「やっ…ニノっ…やだっ…」
「…嘘ばっか…」

揺れる視界には、唇を噛み締めて苦しげに眉を寄せるニノがいて。

「なんで…だよ…」

ぽたり、と雫が頬に落ちてきた。


ぽたり、ぽたり、ぽたり……


哀しみを閉じ込めた雫が、雨のように降り注ぐ。


「なんでだよっ…なんでっ…」


ごめん…


「なんでなんだよ…なんで、あいつなんだっ…」


ごめんね…

苦しめて、ごめん…


「ふざけんなよっ…」
「あ、あ…やぁっ…ニノっ…もうっ…」
「…くそっ…」
「も…イクっ…」

ニノが吐き出した熱い欲が、俺を満たしてく。


「…雅紀の、バカ…」


倒れてきた震える体を抱き留めると。

息も出来ない程強く、抱き締められた。


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