第4章 天泣
【雅紀】
苛立ちをぶつけるように。
悲しみをぶつけるように。
ニノの舌が、俺の咥内を蹂躙する。
いつもは愛おしむように優しく絡まる舌が、俺の知らない激しさで俺の中を掻き回して。
その動きが、ニノの心の中の嵐を表してるようで…
涙が、込み上げてきた。
全部、俺のせい。
ニノをこんな風にしたのは、俺。
だから…
どんなニノだって、受け容れる
信用を失った俺の愛を示すには、それしかないから…
為されるがままの俺の咥内を隅々まで舐めしゃぶって。
ニノの熱い唇が、首筋へと降りていく。
「…っ…は…」
堪えきれなかった嬌声が漏れると、ニノは動きを止めた。
「…そんな声…初めて聞いた…」
地を這うような、声。
次の瞬間、胸の先に鋭い痛みが走って。
「あぁぁっ…」
体が、勝手に跳ねた。
「ここも…感じるの?翔ちゃんに開発されたんだ…」
感情の見えない薄暗い双眸が、俺を見つめる。
「…ムカつく…」
ぼそりと呟いて俺の腕を引くと、上半身を起こされた。
「舐めろよ」
まだ萎えたままの茎を、口の前に持ってこられた。
俺はそれに手を添え、口の中に招きいれる。
舌先で転がしながら棹の部分を手で扱くと、少しずつ大きくなってきて。
「…は…ぁっ…」
ニノの唇から、熱い吐息が漏れ出す。
「もっと…ちゃんと舌使えよ…」
頬を両手で固定されて。
喉奥まで突っ込まれて。
「…ん、ぐっ…」
嘔吐きながらも、必死に舌を絡めた。
「…翔ちゃんにも…したのかよ…?」
ゆるゆると腰を動かしながら見下ろしてきた瞳は、氷のように冷たかった。