第4章 天泣
投げ出すように掴んでいた手首をベッドに放り出した。
されるがままに、ベッドに倒れ込んだ雅紀は、
俺を仰ぎ見る…
泣きながら…真っ赤な目で…
そんな顔するな///
悪いのはお前じゃないか///
そんな……
そんな悲しそうな顔で俺を見るなよ…
俺が無理やり引っ張った手首が、赤くなっている。
どうやったって、止められない衝動が俺を突き動かす。
引き裂くために、雅紀のシャツに手を掛けると、
雅紀は、俺のその手に自分の手を重ねた。
「自分で、やるよ…」
ベッドの上で、雅紀がゆっくりと着ているものを脱いでいく。
少しずつ露わになる少し焼けた肌、
見慣れた…馴染んだはずの、雅紀の肌…
それが、あの人に……
そう思うだけで、別の物に見えて、
俺は思わず拳を握った。
全部脱ぎ捨てて、ベッドの上で正座している雅紀…
その肩は、気の毒なほどに震えている。
あの腕で、俺を何度も包んでくれた。
あの胸で、俺にいつも安心をくれた。
あの目で、俺を優しく見つめてくれた。
あの口で、俺に愛をいっぱいくれた。
なのに……
それなのに…お前は///
怒りで手が震えて、上手くボタンが外せない。
無様なほどにカッコ悪いよな、俺…
俺は、服を脱ぎ捨てた。
雅紀は俯いたまま肩を震わせている。
「…こっちを向けよ…」
俺の低い声に、雅紀はゆっくりと顔を上げた。
「…こんなんじゃ、満足しなかったんだよな?
こんな身体じゃ…」
「違ぅ…」
「違わないよ!!翔ちゃんの身体がよかったんだろ?
…翔ちゃんの…男らしい胸に抱かれて…感じちゃったんだよな///」
「違う///」
「ふざけんなよ//////」
雅紀の身体を押し倒し、その上から馬乗りになった俺は、乱暴にその口を塞いだ。
強引に舌を捻じ込むと、雅紀もおずおずとそれを受け止め、絡めてくれた。
雅紀……
まさき………
……心が、引き裂かれそうだ///