第4章 天泣
【和也】
………雅紀が、苦しそうに白状した。
『翔ちゃんに…抱かれてた』って……
………
分かってたよ…
お前が俺に、自分の不貞を告白するつもりでここに来た事。
……分かってた……
言われなくたって、そんなこと///
翔ちゃんとの間に、そういう事があった、って…
しかも、一回きりの過ちでもないんだってことも…
でも…
だけど……
覚悟してたのと違ってたのが、
雅紀だってこと。
俺とは逆の…
翔ちゃんを抱いてたんじゃなくて、
雅紀が抱かれてたんだって言う事…
バカだな、俺も…
考えれば分かりそうなもんだよな。
翔ちゃんが、雅紀に抱かれてる図なんか、想像できないじゃん……
俺とは、いつも当たり前に雅紀が上だったから、
その以外のことを、想像すらしてなかった。
……まさきが、だかれてた……
それはイコール、俺が見たことのない、
俺には見せたことのない雅紀を、翔ちゃんは知っているって言う事だ…
彼を失いたくない…
彼がいなくなるなんて、そんなの絶対にイヤだ…
だけど………
「…雅紀…」
やっと絞り出した声は、自分でも驚くくらいに低く震えていた。
俺を真っ直ぐに見つめ返すその目からは、
大粒の涙がぽろぽろ零れ落ちた。
怒り…?
悲しみ…?
憤り…?
嫉妬の熱い炎が俺を…お前を焼き尽くしてしまう前に…
「…雅紀」
「…うん…」
「お前を……抱かせろ…」
「えっ??」
俺の言葉に、明らかな動揺を滲ませた雅紀に、
俺はさっきよりもはっきりと、
有無を言わせぬ強さで言った。
「お前を、俺が抱く…」
「ニノ…」
「いいよな?」
「……いいよ…」
「じゃ、ちょっと、シャワーして…」
「いい、そのままで」
「でも…」
「いいって言ってんだろ//////」
俺は狼狽える雅紀の腕を掴んで、
引き摺るように寝室へ向かった。