第8章 十六夜月
葉月は男に近づいていきその男の手によって
あっという間に襦袢一枚にされてしまった
思わず刀を持ってる手に力が入る
男はその襦袢にも手をかけ足元へと落とした
葉月は襦袢の下に見慣れぬ布を纏っていた
「なんだありゃ?」
政宗の呟きに言葉を返さずにじっと成り行きを見つめていると
葉月の目の前の男の体がガクンッと崩れ落ちた
"なにがおきたんだ?"と唖然として眺めていると
葉月は倒れた男を飛び越え鳩尾に回し蹴りをしまた一人男を沈め
刀を抜く男にも怯まず刀を避け脛に一発蹴りを入れ踵落としでまた一人沈め残りは二人
『後はアンタたちだけ
一瞬で終わらせてあげるから
さっさとかかって来なさい』
「ククッ挑発とはなかなかに面白いな」
小屋の中を見る光秀は愉しそうに笑う
葉月の挑発に慌てて刀を構える男
だが葉月は一瞬で間を詰め顎を殴られ男は沈められた
残る一人となった男は逃げ出したが
襟首を掴み膝裏に蹴りをいれ後ろに引き倒された
『なに逃げてんの?
アンタには聞きたいことがあるんだけど』
さっきから少し引っ掛かっていたんだか
葉月の口調が変わってないか?
「な、なにを...」
『仲間は?』
「言うと思って.....っひ!?」
無表情になった葉月は男を見下ろしスッと足を持ち上げ
顔の横に蹴りをいれバギッと音を立て蹴り壊した
『な か ま は?』
「いない!!」
『そう、教えてくれてありがとう』
葉月は着物を拾い肩に羽織り男に背を向けた
その瞬間男が斬りかかって来た
「殺させるわけないでしょ」
ゆらりと立ち上がった家康によって男はまた床に逆戻りしていった
「これは面白い物を見た
葉月は随分と猫を被っていたものだな」
一部始終を見て固まっていた俺と政宗
対照的に光秀はやはり楽しそうに笑っていた
「桜花が時々怖がってた理由はこれか」
「そんな事よりも行くぞ!」
以前に桜花が"葉月強いんだよ!"と言っていたがこれ程までとは思わなかった....
だからと言ってこんな危険な事をするなんて後で説教だな!!