第8章 十六夜月
最近城下近くの森、東の通りのみで盗賊らしき者が出ており
今日はその事について広間で緊急会議が行われた
会議の結果迂回路の西の森に家康と三成を向かわせた
その後なぜか信長様は城下の見回りと称し桜花と葉月に金平糖を買わせに行かせる事になり俺はそれについて行く事にしたのだが.....
「秀吉様っ文は読んでいただけましたか?」
「ああ、読ませて貰った」
「秀吉様~今日こそは私達とお茶をしましょう!」
「そうしたいのだが今日は信長様の用事で来ているのでまた今度な」
城下に出て金平糖を購入したまでは問題はなかった
しかし店の外に出ると俺は町娘に囲まれて次々に声をかけられてしまった
慕ってくれる娘たちを無下に出来ず笑顔で質問に答えていく
「そろそろ仕事に帰らなちゃいけないからまたな」
えぇ~っと残念そう声を上げる娘たちの輪を抜け
待たせてしまった桜花と葉月を探すが見つからない
「きっと桜花の事だ甘味屋にでも行ったんだろう」
いつも一緒に城下に来ると必ず寄っていた甘味屋
今日もそうだと思いに向かって歩き出した
「休みみたいだな...
と言うことは町はずれまで行ったのか?」
少し早歩きで町はずれまで歩き出し視界に甘味屋が入った
店を覗くと机に突っ伏している桜花が居た
「桜花!?」
慌てて駆け寄り肩を揺すった
「桜花!桜花!!」
「ん...秀吉さん?」
「桜花何があった!!
葉月はどうした?!」
ふあぁ~と呑気に欠伸をして体を起こし目を擦る桜花に
安堵のため息を吐きここに居ない葉月の事を聞いた
団子を食べた後に眠くなったと言い出した桜花に
盛られたと確信した
店主に葉月の事を聞くと
籠に乗せてあっちの方へと指差した
その方角は東の森
「桜花、一旦城に帰るぞ」