第8章 十六夜月
その後葉月は家康の許嫁だと信長様に言われ渋々御殿に連れて帰った
「桜花お前は少し葉月を見習ったらどうだ?」
「葉月は私と違ってお嬢様育ちだもん!」
「では、葉月はお城育ちの姫で
お前は教養の無い町娘と言うことか?」
「そうそう、そんな感じ🎵」
「お前なぁ....」
光秀に小バカにされたことに気付かずにこにこ笑う桜花に俺はため息を吐いた
「せめてまともに挨拶できるようにするぞ!!」
「え~」
「"え~"じゃない!いいな!?」
「諦めて秀吉の言うことを聞け桜花」
「まあ確かにもう少し姫らしくした方がいいぞ」
う゛~と唸り桜花はガックリ肩を落とした
そんな話をしていると広間に入ってきて開口一番に
苛立った表情の家康が言った
「葉月がいなくなりました」
「どういう事だ家康」
後ろを歩いていた葉月の気配が急に無くなり
一瞬のうちに居なくなったと
仕方なく城に舞い戻ってきたらしい
「貴様の元から葉月を奪うとは
なかなかなの手練れだな」
「迷子ではないのですか?」
「バカなの?」
呑気に"迷子"と言う三成を一瞥し踵を返し家康は広間を出て行った
「兎に角だ!早急に捜し出すぞ!?」
秀吉の声にやれやれと腰を上げる武将たち
桜花もそれにならって立ち上がりついてくる
「桜花は留守番だ」
「やだ!私も葉月を捜す!?」
「桜花は大人しく部屋で待ってろ」
「え~....」
「仕事増やす気?」
「うぅ~わかりました」
「直ぐ見付けてくるから心配するな」
ポンポンと桜花の頭を撫で城下に向かった
それから数刻後葉月は自分の足で城まで帰ってきた
"申し訳ありませんはぐれてしまいました"と
謝る葉月を怒り取り敢えず今日は
桜花の部屋に泊まるように言って俺は御殿に帰った