第7章 満月
空にあった入道雲が姿を消し
青々としていた山は緑から黄金色へと衣替え
鈴虫が鳴き始め季節は夏から秋へと変わっていく
「出来たー!?」
お城の自室に籠ってドレスを仕立てていた桜花は
大きく腕を伸ばしバッタリと後ろに倒れた
「随分と賑やかだな」
会いに来た秀吉は顔を覗きこんで微笑んだ
「あっ秀吉さんみてみて!
ついに出来たの最高傑作だよ!?」
秀吉に起こしてもらい出来上がったドレスを持ち上げた
「凄いな!このキラキラ光っているのはなんだ?」
「ふふっ企業秘密です🎵」
ただの真っ白なだけのロングドレスは
信玄から佐助が巻き上げたレースと沢山のビーズを使い華やかなドレスになった
桜花が今出来る全ての技術を使って仕上げた
「出来上がったか」
「へぇーやるじゃねえか桜花」
「誰しも一つは優れたのもを持っていると言うが
優れたものがあって良かったな」
「とても美しいです桜花様」
「ありがとうみんな
葉月に報告してくるね!?」
バタバタと駈けていく桜花を見送る
「秀吉、早馬を出せ」
「はっ!?」
「よしっ俺も仕上げるか!?」
それを合図に各々は準備にかかるのだった