第6章 待宵月
「おかえりなさいませ。家康様葉月様」
「夕餉はいらない
誰が来ても部屋に通さないで」
「かしこまりました」
出迎えてくれた鈴に荷物を渡し
葉月の手を引き自室入っていく
「どういう事か説明してくれるよね?」
襖を閉め向き合うように座る険しい顔をした家康
『桜花が服作ってるの知ってるでしょ?』
桜花の依頼で佐助が南蛮の商品を探していたこと
見つけた商品を信玄に買われてしまったこと
その商品を貰う代わりに信玄に会いに行ったこと
などを簡単に説明した
「...俺になにか言うことない?」
『黙って行ってごめんなさい』
「他には?」
『.....無断外泊?』
「それから?」
『ぇ......?』
ぱちくりと大きな目を開けて小首を傾げた
「一番大事なことがあるでしょ
会いに行っただけなのになんで口説かれてんの?」
不機嫌そうに眉間に皺を寄せた
『......やきもち?』
「!?」
そう聞くと顔をほんのり赤く染めそっぽを向いた
やきもちを焼かれたことに嬉しくなりクスクス笑っていると
赤い顔をした家康がグイッと手を引っ張り抱き締めてきた
「自分の好きな子がほかの男に口説かれてたら焼くでしょ」
『笑ってごめん嬉しくて
私が好きなのは家康だけよ』
抱き寄せられた胸元から家康を見上げると優しい笑みを浮かべて微笑んでいた
引き寄せられるように二人は口づけを交わした
「俺も葉月が好きだよ」