第6章 待宵月
「報酬今貰ってもいい?」
『報酬?』
甘い口づけの後以前桜花と秀吉が
恋仲になるのを協力した時の
報酬を貰っていないことをふと思い出した家康
「そう報酬、葉月から口づけして」
『えっ私から?』
「うん。葉月から」
おずおず両手を家康の頬に伸ばし少しずつ顔を寄せていく
『あの...目閉じて?』
「閉じないとダメなの?」
『ダメ....』
朱に染まる頬
上目づかいに見つめる潤んだ瞳
薄く開いた唇
誘惑に負けて自分から口づけをしそうになり
瞳を閉じ視界から葉月を処断した
瞳を閉じていても葉月を感じる
香を焚いていないのに葉月から甘い香りが漂う
『っん』
ちゅっと軽く唇に触れてくる葉月から
香り立つ魅惑の香りに家康は負けた
離れようとする葉月の後頭部を引き寄せ
開いた唇から舌を滑り込ませた
舌を絡ませ時間をかけてしっかりと口内を味わい離れると
葉月は家康の胸元に顔を埋めた
「葉月?」
名前を呼ぶとピクッと反応しゆっくりと顔を上げた
「顔真っ赤」
『家康のせいだよ』
「ちゃんと見せて」
普段そつなく何でもこなし照れることはあっても
ここまで真っ赤になって恥ずかしがることはない
自分にしか見せない表情を見たくて
俯こうとする葉月の顎を片手で持ち上げた
乱れた髪を耳にかけるとそのまま指を首に這わした
ビクッと肩を震わす葉月
"首弱いって知ってる?"
いつかの大翔の言葉を思い出し一気に眉間に皺を寄せた
『??....ぁっ!』
急に不機嫌になった家康を不思議そうに見つめると
首筋に顔を埋められチリッとした痛みが走った
「葉月、祝言あげよう」
『祝言?』
「それで、葉月は俺のって印を
ここ以外にもつけさせて」
トントンッと首筋を突いて微笑んだ
『はい』
印をつけられた首筋まで赤く染め葉月は嬉しそうに頷いた