第6章 待宵月
葉月が出かけて二日目の朝
家康はイライラしながら文机を指先で叩いていた
「家康ー!?」
バタバタと家康の御殿に走りこんできた桜花は
文を握りしめ肩で息をしながら思いっきり襖を開いた
「大変だよ家康!!」
「なに?今忙しい...」
「葉月が大変なの!!」
「....どういうこと?」
葉月が大変と聞き静かにゆっくりと後ろを振り返り眉間に皺を寄せた
桜花の話を聞いてすぐに家康は馬で春日山城を目指た
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「俺だけの姫にならないかい?」
『.....またですか?お断りです』
信玄は挨拶のように耳元で甘く囁く
葉月はにっこりと微笑みながら断る
「貴様黙って飯も食えないのか?」
「三度の飯より姫を口説き落とす方が大事じゃないか」
「俺は信玄様にさんせ~い!
葉月よりもど...」
『嫌』
「早っ!返事早すぎだぞ!?」
言い終わる前に言葉を被せた
「大翔さん春日山城に着てから
チャラくなりましたね」
『そうね』
「ちゃら?」
「幸村は今のままがいいよ」
「は?」
幸村は意味がわからず首を傾げた
「佐助この時代の女の子は素直で可愛いぞ~」
「そうですか良かったですね」
ヘラヘラ笑う大翔に佐助は無表情な顔で答え
ふと開いている襖から外を見た
「そろそろかな」
『佐助どうかした?』
「ちょっと出てきます」
葉月の問いかけには答えず
サッと音もなく部屋を出て行った