第6章 待宵月
「おかえりなさいませ家康様」
「...ただいま葉月は?」
仕事を終わらせ帰って来た家康は葉月の部屋に来た
しかし部屋の住人ではなく葉月付きの鈴が一人で部屋にいた
「お出かけになられております」
「出かけてる?」
出かけていると聞き外に視線をやる
薄っすらと暗くなってきている空
普段出かけることがあっても
まず一人では出かけないし明るいうちに帰ってくる
「葉月様から伝言を預かっております」
「伝言?なに?」
「"数日出かけてきます"と」
「.........数日?」
一人で出かけていると聞き心配したにも関わらず
それが数日と言われ理解に数分かかった
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「お疲れ姉さん」
佐助の馬に一緒に乗って数刻走り
辺りは暗闇に包まれようとした頃
やっと春日山城にたどり着いた
「俺は幸の部屋で休むから
姉さんはここで休んで」
『わかったわ』
佐助が出て行き静かになった部屋でふぅっとため息をついた
きっと今頃眉間にしわを寄せているに違いない
瞳を閉じれば家康の怒った顔が目に浮かんだ
『私に出来ることは少ないからやれることはやりたいの
黙って出てきてごめんね家康』
着物を脱ぎ褥に横になり眠りについた
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「幸、悪いけど今日ここに泊まらせて」
葉月を部屋に案内してから直ぐに幸村の部屋にやって来た
「別にいいけどなんかあったのか?」
「俺の部屋に姉さんがいるんだ」
「はあ!なんで居んだよ
謙信様は知ってんのかよ?!
ってか信玄様にはぜってえ教えるなよ!?」
大きな声で驚いたが声を潜めてしゃべる
「信玄様の要望で来てもらったんだ
謙信様には明日報告する」
「....わかった。なんかつかれた寝るか」
「ああ、お休み幸」