第6章 待宵月
「姉さん今いい?」
『佐助?大丈夫よおりてらっしゃい』
桜花がサイズを測りに来てから数日後
佐助が天井裏から現れた
「久しぶり姉さん」
忍び装束ですたっと音もなく目の前に飛び降りた
『うん。久しぶりね
どうしたのなにか用事?』
「実は桜花さんに頼まれて
レースを探してるんだけど......」
この時代では南蛮...外国の商品は希少で滅多に手に入らない
やっと商品を扱っている店を見つけが
どうやらそこの店の主人は信玄の知り合いらしい
その為、店の主人から佐助が希少な商品を買いに来たことが信玄にバレてしまった
レースを買い占めた信玄は佐助にある条件を出した
°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°
「佐助これ(レース)が欲しい?」
にっこり微笑んで
手に入れたレースをヒラヒラと揺らした
「はい」
「交換条件でこれを譲ってもいい」
「条件ですか
信玄様は何が欲しいのですか?」
「佐助お前の姉、葉月を俺のところに連れて来てくれるかい?」
「姉さん?なぜですか?」
「俺が会いに行ってもいいが徳川が邪魔をするだろう?
だったら葉月が俺に会いに来ればいい
もちろん徳川抜きでな」
「信玄様なぜ会いたいのかを聞いたのですが...」
「佐助、男はね可愛い女性に会いたい者なのだよ
それが美しい敵国の姫となればなおさらね」
°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°
「と、言うことなんだ」
信玄とのやり取りを言い終えてズレた眼鏡をクイッと持ち上げた
『.....わかったわ春日山城に
信玄様に会いに行けばいいのね』
「ありがとう姉さん外で待ってる」
来た時と同じように天井裏から音もなく出て行った
「鈴」
「はい。お呼びですか葉月様」
「出かけてきます家康に伝言をお願いできるかしら?」
鈴に数日出かけることを告げると心配そうに見つめてきたが
かしこまりましたと頭を下げ素早く支度をし見送ってくれた