第6章 待宵月
「葉月~来たよ」
『いらっしゃい桜花』
文をもらった翌日桜花が家康の御殿にやって来た
『桜花、服どんなのを作るのかしら?』
「ふふっないしょだよ
出来てからのお楽しみ🎵」
『そう、それじゃあ楽しみしてるわ』
「さぁ~脱いで脱いで」
『はいはい』
着物を脱いで現代の服に着替えた
にこにこと笑顔で鞄からメジャー取り出し伸ばした
『桜花は旅行にまでメジャー持って来てたのね』
「ふっふっふっ何時如何なる時も離しません!」
桜花は大学では被服学科に通っていた
自分でデザインして服を仕上げる
私も今まで何着か作ってもらった
『服の生地はどうするの?』
「ほら、現代で着物のリメイクとか流行ってたでしょ?
だから今回は着物を現代風にアレンジしようかなって思ってるの!」
『あら、それは楽しみね』
話しながらメジャーで次々に測っていった
「よし!オッケー終わったよ葉月」
使ったメジャーを鞄に片づけて立ち上がった
「それじゃさっそく反物屋さんに行ってくるね」
『いってらっしゃい』
手を振り桜花を見送った
桜花はこの時代でも着物や巾着などを作って皆の役に立っている
しかし葉月はと言うと家康の手伝いといっても
横で文の仕分けかお茶の準備をするのみで何不自由することなく
このままで良いのかと部屋から庭を見つめて溜息を吐いた
「葉月?」
『あっ家康おかえりなさい』
「なんでそんな恰好してるの」
『桜花がね服を作るために測りに来てたの』
「着替えて夕餉にしよう」
『うん』