第5章 十三夜月
『おはようございます信長様』
利家に会った翌日
不機嫌な顔の家康を連れて
お城の鍛練場にやって来た
『いぬ...いえ利家様は?』
「じきに来る」
暫く談笑していると利家がやって来た
「おはようございます信長様
昨日ぶりだな葉月、と家康」
『おはようございます利家様』
「....おはようございます」
にこやかに挨拶をしてくる利家に
眉間に皺を寄せながら挨拶を交わす家康
「よう家康、機嫌悪そうだな」
「それはそうだろう
許嫁を取られるかも知れないのだぞ?」
「お前らいい加減にしろ!?」
「秀吉さん」
「ど、どうした家康?」
「元はと言えば秀吉さんのせいなんですよ?
万が一にでも葉月が負ける様なことがあったら
どうなるか分かってますよね?」
え゛!?と顔を引き攣らせた
「葉月お前その格好で試合をするのか?」
『いえ、この着物は脱ぎます』
「葉月何に着替えるの?」
『現代から持ってきた服に着替えるわ』
「へ~現代の服か楽しみだな」
鍛錬場の角に設置してもらった衝立の後ろに回った
今日はキャミソールをやめて無地のTシャツ
下は愛用のホットパンツに着替えた
『お待たせいたしました』
長い黒髪を邪魔にならないように一つに纏め括りあげる
「葉月!足出しすぎだ!?」
「まあ落ち着け秀吉
葉月のあの格好見るの初めてでもないだろ?」
「綺麗な足だな家康」
「...なんで俺に振るんですか」
「葉月様はどの様な恰好をされても美しいですね」
「煩い見るな三成」
「あ~そろそろいいか?」
利家がぽりぽり頬をかきながら待っていた
「葉月、貴様獲物は何を使うのだ?」
『薙刀の木刀を使わせていただきます』
「じゃあ俺は木刀でいいわ」
「私が立会人をさせていただきます
お二方こちらへお並びください」
三成に従いそれぞれが木刀を手に持ち中央に立った