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許嫁は戦国武将〈イケメン戦国〉

第1章 新月


無言で前を歩く家康その後ろを葉月も無言でついて行く
現代と違い舗装されていない道
歩くたびにシャリシャリと砂の音だけが聞こえる


『(同じような風景ばかり、迷わないようにしないと)』


両サイド同じような垣根で御殿をぐるっと囲っている
何個目かの角を家康が曲がり葉月も角に差し掛かった時


『!?』


体を後ろに引かれ口を抑えられて誰かの腕の中に納まった


「ちょっと我慢して」


ふわっと体を抱き上げ家康と反対方向へと走りだした


「葉月?」


聞こえていた足音が無くなり家康は後ろを振り返るが
そこには葉月の姿は無くつけていた簪が道に落ちていた


「(道に迷ったわけないな、すぐ後ろに居たし。じゃあ攫われたか?
そうなら腕がたつヤツだ気配が感じられ無かった)」


落ちている簪を拾い上げ
もう一度安土城へ足を向け歩き出した


°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°°˖✧◝◜✧˖°


「ただいま」


数分走ってある一軒の家に入った
そこには3人の男性がいた


「佐助何処にいって......
はああ!!ちょっと待て佐助!?
なにでそいつがここにいんだよ!!」


わなわな震えながら指をさして怒り出した


「まあまあ幸、落ち着け
やあ美しい天女、俺は武田信玄だよろしく」


葉月の手の甲にチュッとキスを落とした


『あら、私は葉月と申します。
信玄様よろしくお願いいたします』


「お前も何普通に挨拶してんだよ!」


信玄の手を借りて佐助の腕の中から降りた


『あら、怒りっぽい方ですね
貴方のお名前は教えていただけないのですか?』


「おこっ!俺は真田幸村だ!」


『ふふっ幸村様ですね
それでそちらのお方は?』


「おれの上司、上杉謙信様です」


『佐助の上司?あらそれは大変
私は佐助の姉の葉月と申します
弟がお世話になっております。』


「俺は世話などしておらん」


「そうだぞ天女
謙信は刀を手に追いかけまわしているだけだ」


『あらそれは大変ね
でもその成果は出てるみたいね
さっき佐助の気配に気が付かなかったもの』


よしよしと頭を撫でると無表情の佐助の頬が微かに緩んだ


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